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Q 「引退する」 A get straight -- (名無しさん) 2009-09-23 04 48 47
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コーデ マイデコ例 コーデボーナス ジャンププログラム 【吹き出しコメント1】ホワイトとリズミカルでデコもり☆ 【吹き出しコメント2】ハッピーなリズムにのって きぶんはアイドル 【メモ】 ブランド スター コーデ トップス 不明 不明 ボトムス - - シューズ 不明 不明 アレンジ - - ▲ マイデコ例 チャーム1 チャーム2 フレーム リズミカル ホワイト - ▲ コーデボーナス ステージ コーデボーナス プリズムストーンショップ ◆◆◇◇◇ ほしぞらロックフェス ◆◇◇◇◇ プリズムLIVEスタジアム ◆◇◇◇◇ パウダースノーパーク ◆◇◇◇◇ スイーツカフェ ◆◆◆◇◇ プラネタリウム ◆◆◇◇◇ プリズムアリーナ ◆◇◇◇◇ トロピカルビーチ ◆◇◇◇◇ プリズムフューチャーアリーナ ◆◆◇◇◇ ゆうぐれロックフェス ◆◇◇◇◇ ディアクラウンショップ ◆◇◇◇◇ プリズムマイ☆デコアリーナ ◆◇◇◇◇ はらじゅくストリート ◆◆◆◇◇ ギャラクシースターファイナル ◆◆◇◇◇ ▲ ジャンププログラム 順番 ジャンプ 得点 サプライズ 1 ミスフェアリーガール 100 あり 2 きらめきフューチャースター 150 3 プラチナスパイラル! 200 4 スタースプラッシュ 200 ▲
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【検索用 まんねりすむ 登録タグ 2016年 NexTone管理曲 VOCALOID ま アートトラック ピノキオピー 初音ミク 曲 曲ま】 + 目次 目次 曲紹介 歌詞 コメント 作詞:ピノキオピー 作曲:ピノキオピー 編曲:ピノキオピー 唄:初音ミク 曲紹介 大好きな日々が もうつまらないなんて 曲名:『マンネリズム』 ピノキオピーの楽曲。 アルバム『Comic and Cosmic』に収録されている。 歌詞 1ときたら2ときて 3ときたら4ときて 5ときたら6とみせかけて 何のひねりもない6 甘い言葉キュンときて アバンチュールにグッと来て それがすべてと言い聞かせて 毎日に恋をしてる あれ これ 遊び疲れたかな 大好きな日々が もうつまらないなんて くりかえし くりかえし 責任なすりつけながら やりなおし やりなおし やがてどうでもよくなって マンネリズム マンネリズム マンネリズムの 最短ルートを 避けて 避けて 今度こそは・・・ AときたらBときて CときたらDときて EときたらFと見せかけて 何のひねりもないF 運命だとピンときて ゴミもジャンクもグッと来て それが好きだと信じながら 途切れ途切れ探してる あれ これ 心壊れたかな 綺麗な虹が もうありきたりなんて ふりかえり ふりかえり 足跡を確かめながら やめたいのに やめたいのに 馬鹿の一つ覚えなんて マンネリズム マンネリズム マンネリズムの 第三ゲートで 待ってて 待ってて もういないかな からまわり からまわり いったりきたりどっちらけ 神頼み 神頼み 冷静さを見失って マンネリズム マンネリズム マンネリズムの 最短ルートを 避けて 避けて 避けて くりかえし くりかえし 同じ場所でもがきながら やりなおし やりなおし ほんの少し進んでって マンネリズム マンネリズム マンネリズムの 第三ゲートで 待ってて 待ってて もういないかな コメント 名前 コメント コメントを書き込む際の注意 コメント欄は匿名で使用できる性質上、荒れやすいので、 以下の条件に該当するようなコメントは削除されることがあります。 コメントする際は、絶対に目を通してください。 暴力的、または卑猥な表現・差別用語(Wiki利用者に著しく不快感を与えるような表現) 特定の個人・団体の宣伝または批判 (曲紹介ページにおいて)歌詞の独自解釈を展開するコメント、いわゆる“解釈コメ” 長すぎるコメント 『歌ってみた』系動画や、歌い手に関する話題 「カラオケで歌えた」「学校で流れた」などの曲に直接関係しない、本来日記に書くようなコメント カラオケ化、カラオケ配信等の話題 同一人物によると判断される連続・大量コメント Wikiの保守管理は有志によって行われています。 Wikiを気持ちよく利用するためにも、上記の注意事項は守って頂くようにお願いします。
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ボスメダル 説明 脱走不可能と言われる監獄から4度もの脱走を成功させた妖魔界の脱獄王。脱獄こそが最高のゲームだと考えておりワザと逮捕されてから華麗に脱獄を決めるのがこの上ない快感らしい。相棒はサム。
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コーデ マイデコ例 コーデボーナス ジャンププログラム 【吹き出しコメント1】ブラックとリズミカルでデコもり☆ 【吹き出しコメント2】ハッピーなリズムにのって きぶんはアイドル 【メモ】 ブランド スター コーデ トップス 不明 不明 ボトムス - - シューズ 不明 不明 アレンジ - - ▲ マイデコ例 チャーム1 チャーム2 フレーム リズミカル ブラック - ▲ コーデボーナス ステージ コーデボーナス プリズムストーンショップ ◆◆◇◇◇ ほしぞらロックフェス ◆◇◇◇◇ プリズムLIVEスタジアム ◆◇◇◇◇ パウダースノーパーク ◆◇◇◇◇ スイーツカフェ ◆◆◆◇◇ プラネタリウム ◆◆◇◇◇ プリズムアリーナ ◆◇◇◇◇ トロピカルビーチ ◆◇◇◇◇ プリズムフューチャーアリーナ ◆◆◇◇◇ ゆうぐれロックフェス ◆◇◇◇◇ ディアクラウンショップ ◆◇◇◇◇ プリズムマイ☆デコアリーナ ◆◇◇◇◇ はらじゅくストリート ◆◆◆◇◇ ギャラクシースターファイナル ◆◆◇◇◇ ▲ ジャンププログラム 順番 ジャンプ 得点 サプライズ 1 ミスフェアリーガール 100 あり 2 きらめきフューチャースター 150 3 プラチナスパイラル! 200 4 スタースプラッシュ 200 ▲
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前ページ次ページデュープリズムゼロ 第二十五話 『閃光』 「フム…圧倒的ですな陛下。」 眼前にて繰り広げられるトリステイン軍と神聖アルビオン王国軍の戦闘を見やり裏切りの子爵ワルドは冷酷な笑いを浮かべて同じく戦場を見つめるクロムウェルへと声をかけた。 「あぁ、だが予想よりもトリステイン軍は健闘しておるようだな。どうやら王女自ら前線に立っている事が奴らの士気を高めておるのが大きいか。」 「ですが既にレキシントンある限り制空権は絶対的に我等の物です。それに…ククク…私よりも腕の立つ幻獣のりはトリステインには居りませんからな。」 「ハハハ、頼もしいな子爵。」 ワルドの言にクロムウェルは上機嫌に笑う。神職に就いていたこの男には戦の事はよく分からない部分であったが自軍が圧倒的に有利なのは素人目から見ても理解が出来る。 もはや制空権を奪われたトリステインはそれを覆さぬ限りどれだけ勇猛果敢に奮戦しようと勝てる見込みはあろう筈も無い… 「フム…しかし子爵、君はどこか退屈そうに見えるな。」 「はい、恥ずかしながら私はどこまで行っても所詮戦士ですからこれ程までに一方的な戦は些かに退屈でして…」 「ハハハ、勇ましい事だな。」 曖昧な取り繕った笑顔でクロムウェルにそう言ったワルドは義手で強く拳を握ると視線は遠く、地平線に隠れそうな魔法学園を恋い焦がれるような思いで見つめていた… (どうしたガンダールブ、ルイズ生きているのならば私の前に現れて見せろ!!) 「『ハッ……クシュンッ!!!』……う゛~…誰かあたしの噂でもしてんのかしら…」 盛大なクシャミを一つしてミントは高高度の冷えた風を浴びて思いの外冷えた自分の身体を抱くようにして前方の船団を睨みながらヘクサゴンを飛ばす。 「それもこれも全部あいつ等のせいよ…ボコボコの地獄巡り決定ね。」 ミントの乗るヘクサゴンは魔法学園からこの戦場へと直行してきた為、偶然とは言え丁度トリステイン軍と真正面から戦闘を行っているアルビオン軍の柔らかい横腹をつくような形で戦域へと進入している。 当然とも言えるが真っ赤に塗装されたヘクサゴン(スカーレットタイフーンエクセレントガンマ)の姿は晴れ渡った青空に良く映え、アルビオン艦隊の一隻が自分達に結構なスピードで接近するミントは捉えて迎撃態勢へと移行する。 「未確認飛行体本艦へと接近!!」 「伏兵か!?少なくとも味方では無い、カノン砲発射、用意急げよ、打ち漏らした場合は速やかに火龍隊で迎撃に当たれ!!」 見張りの報に艦長は素早く判断を下すと適切と思われる指示を風の魔法に乗せて全乗組員へと伝える。 「アイサー!!」 統率の取れた動きでカノン砲が接近する目立ってしょうが無い目標へと向けられると接近するヘクサゴンが射程範囲に収まるのを船員達は今か今かと待ち構えるのだった。 「よぉ相棒、やっこさんこっちに気が付いたみたいだぜぇ。」 ミントの背中で暗にこのまま行くのか?とでも言いたげにデルフが鍔を鳴らす。勿論目の前の軍艦が側面にずらりと並んだ砲塔をこちらに向けている事などミントも判っている。 だが、高度を上げるのも下げるのもまして転身後退などという選択肢はミントは持ち合わせてはいない。前進突破あるのみ、立ちふさがる物は撃滅必至!!いつだって多少の狡猾な打算と共にミントはそうしてきた。 軍艦から轟音と共に吐き出された鋼鉄の砲弾は何かしらの魔法の補助なのか、はたまた砲兵の練度の高さ故なのか幾つかの砲弾がミントへの直撃の軌跡を描いて飛来する。 「ヘクサゴン!!」 ミントの声紋に反応してヘクサゴンはその一対の蛇腹の豪腕を振り上げミントの乗る背中を守るように交差させる。 『ズドォォォ~~ンッ!!!!!!!』 という轟音と共に揺さぶられた足下にミントはぐらついた足を踏み込んで体勢を整える。 「危ない危ない、結構揺れるもんね…」 事も無げに言ってミントは前方の軍艦を睨む。直撃を受けたヘクサゴンの腕部といえば… 「命中、直撃です!!」 ヘクサゴンへの砲撃の着弾を確認した観測主が喜色入り交じった声を上げる。すると軍艦の内部で、歓声と口笛が沸き上がり、隣に立つ戦友とハイタッチを交わす砲兵達。 「良くやった!!だが警戒を怠るな!!」 その様子を満足げに見つめていた艦長はだが一度声を張り上げると各船員達へ檄を飛ばす。 有能な軍人である彼の言葉に喜びもつかの間、船内に再び程よい緊張と覇気が満たされ各員が再びそれぞれの軍務へと戻る…そして… 「艦長!!未確認飛行物体、尚も接近中です!!………しかも……ダメージ、ありません!!!!」 「何だとぉっ!!!」 観測主の報告に艦長は驚愕を隠す事も無く声を上げた… ミントは砕け散った砲弾から発生した独特の匂いのする煙を突き抜け、一気に自分の魔法の射程距離まで軍艦へと接近する事が出来た。最早射角の都合上カノン砲は役には立たない。 「相変わらずこいつは頑丈ね。」 ミントはデュアルハーロウを構えながら足下を、つまりはヘクサゴンの背中をみやり呟いた。 かつて何度かベルが自分にヘクサゴンを差し向けてきた時も全力の蹴りをぶちかまそうが強烈な魔法をぶち込もうが結局ヘクサゴンにはダメージらしいダメージを与える事すら出来なかった。 そんなヘクサゴンが唯の砲弾の直撃ごときでどうにかなろう筈も無い。『ヘクサゴンに弱点は無いよっ!』とはベルの言葉だったが結局の所ヘクサゴンを止めるには背に陣取った操者を倒すしか無いのだ。 「相棒、上から来るぞっ!!」 デルフの声に従ってミントは魔力の螺旋を頭上に掲げる…そこには目の前の軍艦から出てきたのであろう火龍に乗ったメイジが二組急速接近していた。 「上等よ!!」 火龍の口から放たれた灼熱の吐息…それを容易く霧散させ、ミントの放った『緑』の魔法タイプ『サークル』『サイクロン』立ち上る竜巻は火龍の巨体二体を纏めて錐揉み状に吹き飛ばし、その意識を刈り取った。 ___トリステイン軍 本隊 「このままじゃ…」 ルイズは戦装束を身に纏ったアンリエッタの直ぐ側で歯痒そうに上空を見上げて言葉を漏らしていた。 『このままじゃ負けちゃうわ。』そう最後まで言葉にはしなかった物のルイズの…否、アンリエッタにも慌てて戦列に加わったマザリーニ卿にも戦場に居る誰もがその事を悟り始めている… 太陽を遮り、影を大地に落とす軍艦の群れ…陸上では何とか均衡を保てているようでも砲撃と火龍等の航空戦力の前では碌な準備も出来ていないトリステイン軍には些かに厳しい闘いであった。 前線は後退し、国内に残されていた魔法衛士隊の幻獣達も傷つき戦列を離れていく… それを認め、アンリエッタも無論マザリーニを始め各将校達の表情は苦い… ルイズはその戦場という物を恐怖と共に体感しながら少しでも強く始祖への祈りが届くようにと水のルビーを身につけ、始祖の祈祷書を抱いて瞳を閉じると祈りを捧げる… 『おぉぉっっ!!!』 と、突然兵士達の間に歓声に近いような響めきが響いたことでルイズは目を開く…周囲の人達の視線は一様に上空、ルイズ達から見て左舷の方向へと向けられていた。 「あれ…は?」 ルイズの目に映ったのは燃え上がるメインマストに、まるでゴーレムの豪腕で抉られたように傷ついた船体が徐々に高度を下げながら積載していた火薬類に火が回ったのか派手に爆散していく光景だった。 その光景によって火が付いたように兵達の歓声が沸き上がる。 アンリエッタも少しの困惑と大きな安堵に絶望に打ちひしがれそうだった気持ちを何とか繋ぎ止めた。 全員の視線は自然、何があのアルビオン艦に起きたのかを確認しようとその周囲の空を注視するがそんな中、誰よりも早くその姿を発見したのはルイズだった。 空を行く赤い巨体は接近する火龍や風龍を叩き落とし、あるいは握りつぶし。迫る砲弾さえ意に介さずひたすらに敵陣中央を突破していく。 「ヘク…サゴン…」 ルイズはそれが先日までミントが自分を置いて冒険した末に何処かから拾ってきたガラクタだと認識するとその名を口にする。 (でも何で赤いのかしら…?) そしてルイズの呟き、それを耳ざとく聞いていたのはマザリーニだ… 「諸君聞け!!空を行くあの紅の暴風こそかつてエルフすら震撼させたブリミルの遺産『ヘクサゴン』だ。我がトリステインの危機にブリミルが答えたのだ!!この戦勝てるぞ、各々今一度奮い立て!!」 無論マザリーニはそもそもヘクサゴンが何なのか知りもしない。口から出たのは戦意を高揚させる為だけの出任せである。 『ウオオオォォォォォ~~~~~~!!!!!』 士気が低下していた兵士達に再び闘志が宿る。 「マザリーニ様、あれは「ヴァリエール嬢、アレが例え何であれ今は関係ないのですよ。」」 マザリーニはそう言ってルイズの言葉を遮ってまるで誤魔化すように気恥ずかしそうに軽く笑った。ルイズは何とも言えぬ思いを抱きながらも高揚する兵士達に気圧されて呆れた様な苦笑いを浮かべるしか無い。 「ルイズ、もしやアレは?」 「はい。恐らくミントです姫様。」 ユニコーンの背から馬上のルイズの耳元に口を寄せたアンリエッタの問い。それは答えに半ば確信めいた物を持っていた。 そしてルイズもそれが他の兵達に伝搬しないよう小さな声で、しかし力強くアンリエッタに答えると上空を見上げる。また一隻、アルビオンの軍艦の船底にヘクサゴンの豪腕が突き入れられた… 「やはりそうですか……」 「姫様…わたくし…」 ルイズはアンリエッタを真っ直ぐに見つめ、アンリエッタもまたルイズのその真っ直ぐな瞳から何を伝えたいのかを何となく理解していた。 「えぇ、ここまでわたくしに付き添ってくれてありがとうルイズ。行って下さい、メイジと使い魔は一心同体。いえそれ以上にわたくし達の友人の為に…わたくしはここまでに貴女達に十二分に勇気を分けて頂きましたから。」 「はっ!!ありがとうございます!……行ってきます姫様。」 戦場に似つかわしくない柔らかで暖かい笑顔でルイズを促すアンリエッタ。それにルイズは臣下の礼と友人としての態度を持って答えると意を決し、馬の腹を蹴る。 手綱をグイと力を込めて引いた。ルイズを背に乗せた馬は前脚を擡げて嘶くと引き絞られた矢のように戦場へと駆けだしたのだった。 ___レキシントン甲板 ワルドは伝令より伝えられたその情報に両の手を握りしめ微かに震えていた…怒りでも恐怖でも無く、無論歓喜でも無く…もしかするとその全てであったのかも知れないがとにかくわるどの身体は闘いを前に溢れ出る感情に打ち震えていた… 伝令の報告は__曰く、空を飛ぶ赤いゴーレムの進撃を受けている。 曰く、物理攻撃は一切通用せず、さりとて魔法を放てども魔法は何故か何かに吸い込まれるように掻き消されてしまいその勢いは留まる事を知らないと。 曰く、ゴーレムの背では剣を背負い、一対の金環を手にした少女があり得ぬ魔法を行使して艦を落としていると… ワルドは己の心の赴くままに足を運び始める。その先はレキシントンの甲板後部、火龍や風龍を係留しているエリアである。 報告と予想だにしていなかった緊急自体に狼狽えるクロムウェルが何か訴えるように声をかけてくるがもはやワルドの耳には夜耳元で飛ぶ蚊の羽音並みに鬱陶しいだけであった。 臣下の礼はとっているもののワルドはクロムウェルを皇帝の器と認めてはいなかった… 「ジャン・ジャック・フランシス・ド・ワルド!風龍で出るぞ!!」 勇ましく出陣の名乗りを上げてワルドは風龍の手綱を引いた。ハルケギニア最速の飛行生物はその翼を広げて真っ直ぐ情報へと飛翔する… 「フハハハハハッ待っていろ…ガンダールブッ!!!」 アルビオンで切断された右腕…本来痛みなど最早感じぬ義手となった筈の右腕に走る確かな痛みに口元を歪ませてワルドは笑いながら戦場へと飛翔した。 水蒸気の塊である雲の中、ミントは濡れた髪が頬に張り付いてくる事を煩わしく感じながらもアルビオン艦隊の中央を唯々強引に圧し進む!! 「見つけた、あれが本命ね!?」 幾つかの軍艦を墜として雲を抜けたミントはようやくレキシントン号のその巨大な姿をはっきりと視界に捉えた。 しかしミントとて流石にずらりと並ぶ砲門からの斉射は怖いのでレキシントンよりも高い高度を維持する。もっとも恐れるべきは振動故のヘクサゴンからの落下なのだから。 「見つけたぞ、ガンダールブ!!!」 と、レキシントンを見下ろす形を取っていたミントの更に上空から何者かの怒声と共に凄まじい速度で風龍がミントの視界を横切った。 「あんたは…ワルドッ!?」 一瞬とは言えミントははっきりとそれが誰で在るかを確認していた。自然と表情は不機嫌な物になる、生きているとは思っていたが出来れば二度と出会いたくは無かった男だからだ。 「嬉しいぞガンダールブ、再び相まみえる事が出来るとは!!」 「しつこいわよ!!」 ワルドが放ったエアカッターをミントはデルフで吸収するとヘクサゴンのソーサルドライブを全開にしてワルドの駆る風龍を追う…現状、ミントの魔法の射程範囲には若干遠いし追尾性の高い魔法でも風龍相手では分が悪い… しかしハルケギニア最速は伊達では無い…ヘクサゴンではスピードにおいて風龍との間に埋まりそうに無い差が存在していた。 そしてさらにミントにとって喜ばしくない事態が迫る。 「ワルド殿!!助太刀します!」 ワルドの後を追って出て来たのであろう如何にも練度の高そうなメイジがそれぞれ飛龍に乗って四人ワルドの援護に現れたのだ… ミントはこの厄介な状況に内心歯がみした… しかしここでミントの予想だにしない事態が続けて起きる事となった… 「邪魔を…するなっ!!!」 ワルドは自分に追従する編隊を組む為に近づいてきた部下に当たる筈のメイジ達をあろう事か、一瞬の内に発生させた偏在達でそれぞれ首を撥ね、心臓を貫き、その飛龍達を強奪したのだった。 まさか味方に攻撃されるなどとは思っていなかったメイジ達は「何故?」等という言葉を残す間もなく眼下に広がる緑の大地へと落下していく。 「あんた相変わらずね…」 ワルドの外道な行いに憤りを隠せずミントは避けられる事を承知で魔法を放つ。 「フン、どうせ奴らはクロムウェルの虚無で人形として蘇る!!死ぬ事で私の役に立てるのだ…哀れに思うなら素直に首を差し出せガンダールブ!!」 「ふざけた事いってんじゃないわよっ!!」 魔法による五方向からの同時攻撃、ヘクサゴンのボディがワルドのエアハンマーとウインドブレイクで大きく揺れる… ミントも自身に襲いかかるエアカッターをデルフで凌ぐがここまで統率が取れた連携を相手にするのは骨が折れるであろう事は容易く察する事が出来た。 「ガンダールブ、貴様がフライを使えぬ事を私は知っているぞ!!そんな貴様が空で私に勝てる通りは無い!このまま奴らのように地面に叩き付けてくれる!!」 「くそっ…一対一で戦いなさいよ!!この卑怯者!!」 四方向からの同時攻撃を何とか凌ぐミント…だが 「相棒、上だ!!」 ミントの認識の外からの攻撃にデルフの注意が響く。 「とったぞっ!!!」 詠唱しながら飛龍の背から飛び降り、自由落下を駆使した偏在ワルドの上空からの特攻… ミントは咄嗟にデルフリンガーを振るったがワルドが唱えていた魔法は『エアニードル』唯一デルフの魔法吸収を凌ぐ魔法… 刹那の交差… ワルドの偏在は霞に消えた… そして… 「げげっ!」 「あ~れ~~~。」 一度高く舞い上がった後で空を切り裂くように真っ逆さまに落下していくデルフリンガーの間抜けな声が戦場に響いた。 「ここまでだなガンダールブ。」「切り札を失った貴様はもう終わりだ。」「まずは腕を切り落とす。次は足だ。」「散々なぶった後で一思いに地面に叩き付けてやろう。」 四人となったものの勝利を確信したワルドが口々にそんな下卑た言葉をミントに向けてイヤらしく笑う。その姿はもはや貴族では無く唯の外道だ。 「何言ってんの…切り札?デルフが?」 「何?」 とさっきまで少なくともワルドから見ても狼狽えたような調子だったミントが再び冷静な様子を取り戻す…否、それは闘いの中でする賭けに対し腹を括った様に見て取れた。 ミントは素早くデュアルハーロウを構えるとそのままいつでも魔法が放てる体勢に移行する。 「ライトニングクラウド…討ってきなさい。あたしの魔法とあんたの魔法どっちが早いか勝負しようじゃない…」 「…良かろう、この『閃光』に早さで挑むか…おもしろいではないか。」 ワルドは知らず感じた圧力と精神の高ぶりにに思わず唾を飲み込むと、本体含め全員でライトニングクラウドの詠唱を行う。幸いと言うべきかミントの真正面のワルドは偏在なのだ… 次の瞬間、トリステインの上空には轟音と共に以降、『裁きの雷』と評され伝説とされる小さな紫電を伴った『眩き閃光』が走った。 前ページ次ページデュープリズムゼロ
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前ページ次ページデュープリズムゼロ 第二十九話 『アンドバリの指輪』 「来るとしたらそろそろかしらね。」 ミント達が水の精霊の依頼を引き受け数刻、ラグドリアン湖には既に夜の蚊帳が降りていた… そうして襲撃者を待ち、湖畔の森の茂みの影に一行が身を隠したまましばらくの時間が経過した所で精霊の情報通りローブを纏った怪しげな二人の人物が現れた。 一人は小柄な体格で身長を上回る大きな杖を持ち、もう一人は背の高めな女性。ローブを纏っていてもその女性らしい体型で女生と十分に判別できる。 「来たわね…さっきも説明したけどギーシュはワルキューレで陽動、襲撃者の注意を引いてる間にあたしが裏から攻めて一気にけりをつけるわ。」 「任せてくれたまえ、君の為ならば僕はど「それじゃあ、あたしはもう行くわよ。ルイズとモンモランシーはギーシュが役に立たなかったら片方を何とか引きつけて。」」 ミントはギーシュを完全に無視しながらそう言い残すと襲撃者の背後を取る為に音も立てず、軽やかな動きで森の中へと消える… その場に残されたルイズに対しモンモランシーは不安げな様子で近寄るとルイズのマントをクイクイと引っ張った。 「ねぇ…本当に大丈夫なの?さっきの作戦もはっきり言って無茶苦茶適当じゃ無い?それに…」 モンモランシーはチラリと己の脇に立ち造花の薔薇を手にして格好いいポーズを取っているギーシュをジト目で見つめる。 「モンモランシー、あんたの言いたい事は分かるわ。でも…ま、ここはミントを信じましょう。」 ルイズは言ってぎこちなく笑う… (そうよ…ミントはあのワルドだって倒したんだから…) 「さて、モンモランシー、ルイズ、ではそろそろ行こうか…我が忠誠と愛を示せ僕のワルキューレ!全てはミント様の為に!!」 ミントが回り込むだけの時間を十分に待ったとみて、立ち上がったギーシュが七体のワルキューレを練金するとワルキューレを二人組の襲撃者へと一気に突撃させる。 そのワルキューレ達の動きはまさに一斉突撃であり、それはギーシュのミントへ良い所を見せたいという非常にわかりやすい単純な思考故であった。 それに素早く反応した二人組の襲撃者はほぼ同時に呪文を唱え、接近するワルキューレをそれぞれ火と風の魔法のコンビネーションで次々と迎え撃った… 積極的に前に出る火のメイジに対し風のメイジが確実な援護を行い、数分の攻防を経て既にワルキューレはその数を4体にまで減らす。 「さてと…そろそろ行こうかしら。」 「お?やっと俺様の出番かい相棒?」 その光景を草陰に隠れたまま、しばらく見守っていたミントはデルフリンガーを握りしめ軽く一声をかけると草陰から素早く飛び出した。 ミントの動きにいち早く気が付いたのは小柄な風のメイジ…風の流れや物音に対する持ち前の敏感さは流石と言えるか、躊躇う事も無く直ぐ様ミントに迎撃のエアハンマーが襲いかかる。 だがミントはそれをデルフリンガーの力で消し去るとより一層素早い踏み込みでローブを纏った風のメイジに肉薄し、デルフリンガーの峰を叩き付ける様に振るう。 「…っく!」 襲撃者の風のメイジから苦悶の声が漏れる…剣は魔法の刃を纏った杖と交錯し、ミントの一刀を辛うじて堪える形となった。 そのままミントが生来の物に加え、ガンダールブの効果による少女とは思えぬ怪力で風のメイジを力でねじ伏せようとする。 溜まらず片膝を付いた様に見せて、自らに掛かる負荷をいなしたメイジは余程実践馴れしているのか…そこから流れるような軽やかな身のこなしでミントの足下を蹴り払い、体勢を崩したミントから地面を転がるようにして距離を取ると体勢を素早く整えてた。 「ぅわっ…と!…結構やるわね…」 ___ 早鐘のように鳴る心臓の鼓動を沈める為に、咄嗟に雑木林に飛び込んだ風のメイジは何度か小さく息を吸っては吐く… それは何もさっきの一瞬の攻防の緊張から故と言う訳では無かった。 さっきの一瞬の攻防でミントの視線は上から見下ろす形であった、それ故ローブのフードに隠されたメイジの顔は見えなかった…だが、逆にメイジはミントの顔をしっかりと見た。 (何で…ここに彼女が?) 水の精霊への襲撃者の正体、それは自らの家事情によってガリア王国から任務を受けたタバサとその親友を手伝おうとしているキュルケだったのだ。 まさかそんな任務の最中に突然自分達に襲いかかってきた人間が学園の友人だとは思っていなかったタバサは内心で少なからず動揺した。ここで自分がフードを外し、ミントの名を呼べばお互い戦う必要は無い。 (だけど…) タバサは又一歩ミントから距離を取って考える… 今、キュルケはワルキューレを相手にしているがドットとトライアングルの力差は明白、彼女の勝ちはもはや時間の問題だ。そしてそう間を置かずキュルケもミント達の正体に気づいてこの闘いは終わるだろう… (ならば…) タバサは思考を纏めて自分の導き出した結論に従って再び杖を構えて呪文を紡ぐ… (私は本気で彼女と戦ってみたい…) 魔力で編まれた風が一度足下で円を描くとタバサは腰を落とす…握りしめられたその杖には今鋭い風の刃が付与されていた… ___ (…それにしてもあの動きと反応の良さ…何か引っかかるのよね~?) 距離を取ったタバサに対してミントは何とも言えぬ違和感を感じつつ、あえて再び距離を詰める事を選んで前進をする。 メイジにとって最悪とも言えるデルフリンガーの吸収能力…普通のメイジならば何かの間違いだろうとそれを断じて再び魔法の迎撃を選ぶだろう。 しかしタバサは違う、実際にデルフリンガーの力を知っているし、仮に知らずともそんな楽観視からの手を打つ愚は犯さない。 「おりゃぁぁっ!!」 「っ…!」 風の刃を纏った杖が大剣となって再びミントの気合いの掛け声と共に振り下ろされたデルフリンガーと鍔競り合う。 力と技、そして早さもやはりミントが上である以上無理はせず、再び斬撃を受け流したタバサは間合いを放すと悟られぬよう小声で詠唱していたウィンディアイシクルを杖先から解放した。 「うわっと!来た来た!!」 自分に襲いかかってくる氷柱に対し、ミントは落ち着いた様子でステップを交えながら、右片手持ちに切り替えたデルフリンガーを前に突き出す形で防御する。 と、同時に空いた左手でデュアルハーロウを纏めて掴むとデルフリンガーをその場に突き立てた。 「予測通りね。食らえっ!!」 ミントが言って、意地の悪い笑顔を浮かべる。刹那、最も発射までの時間が早い『バルカン』の光球が連発してデュアルハーロウから撃ち出された。 ミントは敵と再び競り合いになった場合、メイジである以上、敵は一度後退して魔法を撃ち込んで来るであろう事を予想して動いていた。そこをデルフで凌ぎ、魔法を唱え終えて最大の隙を晒して居るであろう敵を魔法で仕留める。 それがミントが描いた一連の立ち回り、ハルケギニアのメイジは魔法に絶対の自信を持っており、まさか剣で接近戦を挑んできた相手が魔法を使う等とはまず考えないだろう。その心理を完全に逆手に取った立ち回り。 しかし、それは一つの誤算で防がれる事になる。 それは敵対しているメイジが自分の手の内を知っているタバサだったと言う事だ。 ミントの放った魔弾を前に更に一手先を読んでいたタバサはウィンディアイシクルを放った直後から唱えていた魔法『ウォーターシールド』を解き放つ。 (間に合った!!) 次々と青銅をも容易く打ち抜く魔力の弾丸が分厚い水の障壁に着弾し、消滅するのを確認しタバサは内心安堵する。それと同時に、呪文の詠唱を行いながら水の壁の脇から飛び出した。 実際タバサにとってミントを魔法で狙えるのはデルフリンガーを手放している今しか無い。 夜の湖畔の暗さと、水の障壁の目隠し効果によってタバサが飛び出した事にミントが気が付いたのはその油断も相まってか、タバサが『ウインドブレイク』をミントに向かって唱えた直後だった。 「げっ…!!」 気づいた時にはもう遅い。雑木林の細い木々をへし折りながら強烈な風の鎚が軽いミントの身体をまるで紙細工のように大きく吹き飛ばす。 咄嗟の事とはいえ、ミントはデュアルハーロウを交差させ身を守る体勢をとっていた為ダメージ自体は問題はさして無い。 「やばっ!!?」 それでもその衝撃は空を飛べないミントの軽い身体を森の外へと弾き飛ばすには十分過ぎた。そして湖畔の雑木林の外には一体何があるか? 答えは当然、ラグドリアン湖である… 「へぶっ!!がぼっ!!っ、…ぶはあぁぁっ!!!!」 タバサの放ったウィンドブレイクの勢いがついたまま、数度の水面への衝突の後、派手にラグドリアン湖の水面へと叩き付けられたミントはややあって水中から水面へと顔を飛び出させ、大きく息を吸う。 濡れた髪は頬へ張り付き、お気に入りの一張羅はビショビショで不快極まりない… 「あいつ…もう許せない…絶対ボコボコにしてやるわ。」 呪詛のように呟いて黒いオーラを纏った様なミントはフラフラと重い足取りでラグドリアン湖の浅瀬から岸を目指す。 しかしそのミントの怒りは思わぬ人物によって削がれる事となった。 「ミント~、大丈夫~?」 声の主はキュルケで彼女の隣にはルイズ、モンモランシー、ギーシュがそれぞれキュルケ同様ミントに声を送っている。 「キュルケ…何であんたがここに?」 ミントは思わず何故、今ここにキュルケが居るのかと目を丸くして四人の元へと浅瀬の中足を取られながらも駆け寄った。 「私達にも事情があるのよ。そっちの事情はルイズ達から聞いたわよ。あんたも災難ね。」 と、言ってキュルケが笑うと同時にさっきまで戦闘が行われていた雑木林の中からガサガサと音を立ててフードを外したタバサが現れる。その手には先程ミントが落としていたデルフリンガーが握られていた。 「いよ~相棒、この娘っ子にしてやられたな~!」 「タバサ!!まさかさっきのメイジってあんただったの!?」 再び大きな驚きにミントは口元を手で隠す。それもつかの間、さっきの恨みを忘れようも無いミントは凄まじい剣幕でタバサへと詰め寄るとデュアルハーロウはタバサの鼻先にビシリと突きつけた。 「どういうつもりよタバサ!?あんたのせいであたしはビショビショよ!!」 「ごめんなさい、貴女だと気が付かなかった。暗闇な上こちらも必死だった。」 しれと言ってタバサはミントにデルフリンガーを返却して軽く頭を下げる。勿論タバサの言葉は嘘であるが。 タバサのその返答を聞いてミントは非常にふまんげな表情を浮かべた。敵が友人だったのならミントの沸き上がる怒りは誰にぶつけろというのだろうか…これが赤の他人ならば本気で地獄巡りだ… 「ったく…わかったわタバサ。この怒りは後でモンモランシーとギーシュにぶつけるから…でもその代わりあんた達の精霊への襲撃は止めさせてもらうわよ。」 それでもやはりじっと真っ直ぐに自分を見つめる小柄な少女をぶっ飛ばすのも気が引けるミントは妥協案として諸悪の根源へとその矛先を向ける事とした。ミントのその言葉にタバサも何処か満足そうに無言で頷いた。 「ほら、約束道理あんたを襲ってた奴らとは話付けたんだからさっさと秘薬の材料頂戴。」 「うむ、約束だ…我が肉体の一部を授けよう、受け取るが良いガンダールブ。」 再びモンモランシーが水の精霊を呼び出すと先程と同じくモンモランシーの姿を模した水の精霊の指先から虹色の大きな水滴がフワフワと移動してミントの持つ小瓶へと収まった。 「やったわ!!これで解毒薬が作れるわ!!」 「フム…これだけの量の高純度の精霊の涙…末端価格は凄まじい値が付くだろうね…」 「ハ~…一時はどうなるかと思ったけど…何とかなったわね…」 そのハラハラとしたミントと水の精霊のやり取りが無事完了した事で一同に安堵の溜息が漏れる。 これでミントの目的は達成出来た訳ではあるが、だがまだタバサとキュルケの方の問題が残っている。続けてミントは水の精霊にそもそも何故ラグドリアン湖の水かさを上げているのかを訪ねる事にした。 「あ、それとさ~あんた何で湖の水かさなんて増やしてんの?この子の実家とか困ってるのよ…悪いんだけどやめてくんない?」 タバサを指さしたミントの言葉に反応し、水の精霊はしばらくフルフルと身体を震わせて何か考え込んでいるかのような印象を見せた。 「…ふむ…お前とその周りの単なる者たちに話して良いものか我は悩む。しかし、ガンダールブ、お前は我に力を示し、また我と交わした約束を果たした…ならばこそ信用して話しても良いことと我は判断する。」 「そりゃどーも…」 そこまで深刻な様子を見せられてもミントとしては正直困る。まぁ話してくれるならば特に問題はない…厄介事の予感はするが。 佇まいを正すかのように水の精霊はぐねぐねと形を変え、今度はミントの姿を模すと湖の水かさを増やし続ける理由を話し始めた。 「……数えるのも愚かしいほど月が交差する時の間、我が守りし秘宝を、お前たちの同胞が盗んだのだ」 「秘宝!?」 秘宝という言葉にミントの瞳が邪にギラついたのをルイズは見逃さず、そんなミントに半ば呆れつつ視線を向ける…そんな事を気にした様子も無く、水の精霊の語りは続く… 「そうだ。我が暮らす最も濃き水の底から、その秘宝が盗まれたのは、月が三十ほど交差する前の夜の事だ…我はただ、秘法を取り返したいと願い水を増やした。 ゆっくりと水が浸食すれば我が知覚はいずれ秘宝に届くだろう。水が全てを覆い尽くした時、秘宝は我の元に戻る…無論、その暁には水かさは元に戻そう。」 『…………………』 語り終えた水の精霊に対して六人の反応は正に絶句の一言だった。人間の時間の流れではあり得ない行為を精霊はさも当然の如く行おうとしているのだ… 「そういえば、私お父様から聞いた事があるわ、水の精霊が守り続けている秘宝。確か名前はアンドバリの指輪…強力な水の先住の力を秘めた指輪だと。」 「そう、その通りだ。我が秘宝アンドバリの指輪は生命を操る…偽りの生命を死者に与え、心を操るその指輪を持ち出したのはそなた達の同胞たる三人のメイジ…一人はクロムウェルと呼ばれていた。」 続けられる精霊の言葉に一同は再び絶句する。 「クロムウェルって言ったら…アルビオンの…」 「たしか…新皇帝よね?でもタルブ開戦で捉えられてた筈よね?」 ルイズに続けてキュルケも自らの知りうる情報を口に出して整理する… 「そんなの何でも良いわよ!!とにかく、そんな危ない指輪がアルビオンにあるんでしょう?どうせ今回の戦争だって裏でその指輪が使われてるのは間違いないのよ!!」 「ミント…」 まるで自分の事のようにアルビオンの卑怯なやり方に怒りを露わにするミントにルイズは思わず胸を打たれる… 「指輪は絶対にあたしが取り戻すわ!!そんな凄いマジックアイテムがあれば世界征「水の精霊よ、指輪は私達が責任を持ってお返しします。」」 「ふむ…解った。我はそなた達に期待する。では湖の増水も止めるとしよう…」 グッと手を握ったミントの不穏な言葉をルイズは遮って、水の精霊との間に指輪の捜索と返却の約束が成立する。ミントはルイズを不満げに睨んだがルイズは更に険しい剣幕でミントを睨み付ける… (ったく、折角の遺産級のお宝を…勿体ない…) まぁミント自身、今現在、身を持って人の心を操る事の愚かさを味わっている以上、アンドバリの指輪は精霊の手の届く所に置いておく事に異論は無いのだが… その後幾つかの細かい問答やミントの遺産関係の質問、タバサの湖に置ける誓いの伝承の疑問に答えた事で水の精霊はその姿を再び湖の中へと沈めていった… こうしてようやくミントの惚れ薬問題とタバサの任務である湖の増水問題も全て解決したのであった… 「何にしても…」 ミントは美しい夜の湖畔をぼんやりと眺めると深く溜息をついた… ギーシュとモンモランシーのせいでここまで来て、結果としてはそこそこに壮大な問題の解決に尽力した訳だが…ミントにとっても未だかつてこれ程馬鹿馬鹿しい理由の冒険は経験した事は無かった… 「…疲れたわ。」 前ページ次ページデュープリズムゼロ
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1.リアリズムの国際関係イメージ (a)主要な行為体・・・・・・・国家 (b)行為体の性格・・・・・・・国家の一体性 (c)行為体の行動様式・・・国益を最大化すべく(合理的に)行動 (d)重視する問題領域・・・軍事安全保障 → 弱肉強食の「ゼロ・サム的世界」 □ 思想的背景:数世紀にわたる歴史観察と思索 2.リアリズム思想の形成 □ ツキディデス(Thucydides 471-400 B.C.) 『戦史』(ペロポネソス戦争) 古代ギリシャ都市国家間の過酷な「権力闘争」 戦争原因の分析 根本原因は「恐れ」 →軍拡競争 戦争をめぐる交渉、説得、心理戦 □ マキアヴェリ(N. Machiavelli 1469-1527) 『君主論』(1513) イタリア半島における国家間の権力闘争 国家(=君主)が権力を獲得、維持、伸張するための手引書 国家権力の正当化 統治者は国家の全体利益を体現 統治者の「義務」 ≠市民の「道徳」 「マキアヴェリズム」(権謀術数)という言葉 □ ホッブス(T. Hobbes 1588-1679) 『レヴァイアサン』(1651) 国家権力の絶対性 「自然状態」(万人の万人に対する闘争) → 最高統治者「レヴァイアサン」に全権を掌握させることに人々が同意 =「社会契約」 国際関係は「自然状態」と認識 □ クラウゼヴィッツ(Karl von Clausewitz 1780-1831) 『戦争論』(1832-34) 近代戦争・戦略に関する初の体系的著作 戦争と政治に関する基本命題 「戦争とは、別の手段をもってする政治である」 □ カー(E. H. Carr 1892-1982) 『危機の20年:1919-39年』(1946) ヴェルサイユ条約のわずか20年後になぜ戦争は起こったのか? 根本的原因としての「恐怖」 「権力の行使は常に、より大きな権力への欲望を生み、戦争はその動機が安全保障で始まったとしても、すぐに侵略的で利己的な性格の戦争になる」 理想主義(utopianism)批判 □ モーゲンソー(H. Morgenthau 1904-80) 『国際政治』(1948) 20世紀の代表的理論家 基礎概念としての「権力」と「国益」 国際社会は「自然状態」 国家は国益の最大化と権力の強化を追求 →「他の政治と同様、国際政治は権力を求めての闘争である」 3.まとめ 国際政治の過酷な歴史的現実 権力闘争・戦争の観察と分析 →性悪説に基づく世界観、国家安全保障の追及 1.伝統的リアリズム:基本概念 □ 権力(power) 権力闘争としての国際政治 権力とは? 「他者の精神および行動を支配すること」(H・モーゲンソー) 「目的に従って他者の行動に影響を与える能力」(A・オーガンスキー) 権威(authority)との違い 国家の権力=国力 国力の要素(軍事力、人口、経済力、技術力・・)、基準は時代とともに変化 モーゲンソーは9つの要素(地理、天然資源、工業力、軍備、人口、国民性、国民の士気、外交の質、政治の質)を挙げている。 国力の相対性 □ 無政府状態(anarchy) 国際システム(国際社会)は「無政府状態」=国家の上に立つ権威が存在しない状態 ≠「無秩序状態」(disorder) 無政府状態の下で国家は、 国益(national interest)を追求し、国力の増進を図る 頼れるのは自分の力のみ→「自助」(self-help) →「安全保障のジレンマ」(security dilemma) 「ある国家が自衛のために軍事力を増強すればするほど、それが他の国家にとっては 脅威と映り、軍拡が進んでいく悪循環」 信頼が欠如している状況下での腹の探り合い →「ゲーム理論」(不確実な状況における合理的選択・最適戦略を解明) □ 勢力均衡(balance of power) 「一つの国家や国家集団が絶大な権力を掌握し世界やその一部を支配しそうになった時、 周りの国々が結束してこれを阻止することで、国際システムの均衡を維持すること」 国家間の柔軟な「合従連衡」→無政府状態のもとでの秩序 外交政策の重要性 「バランサー」としての英国(19c) 勢力均衡による秩序 成功例)ウィーン体制(1815~) 失敗例)ヴェルサイユ体制(1919~) 2.ネオ・リアリズムへの展開 □ ネオ・リアリズム(neo-realism)/構造的リアリズム(structural realism) 諸国家は国益を最大化すべく闘争、しかし個々の国家の意思をこえた構造が存在 (1)「二極構造」下の安定 ウォルツ(Kenneth Waltz): 東西冷戦:核抑止を背景とする二極構造 =無政府状態の中で形成された勢力均衡 単純で予測可能性が高く安定的、冷戦後は二極構造が壊れ不安定化 (2)「覇権」による安定 ギルピン(Robert Gilpin) 覇権(hegemony):「強大な国力を背景に国際秩序を形成・維持する指導力と意思」 国際関係史は覇権国交替の歴史 覇権国による秩序安定~交替期の不安定 英国(19~20c)、米国(20c後半) 3.まとめ □ 肯定的評価 長い歴史観察の裏付け 政策関連的 戦争と平和という大問題への関心 □ 批判 国家と安全保障に囚われすぎ 現実を固定化 根本的な秩序変革への無関心 。
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前ページ次ページデュープリズムゼロ 第十三話『二人の姫殿下』 ルイズは夢を見ていた。まだ小さい頃、トリステイン魔法学院に行く前の時の事だった。 「ルイズ、ルイズ、どこに行ったの?まだお説教は終わっていませんよ!」 ルイズは自分の実家である、ラ・ヴァリエールの屋敷の中庭を逃げ回っていた。 騒いでいるのは母、追ってくるのは召使である。 理由は簡単で、デキのいい姉達と魔法の成績を比べられ、物覚えが悪いと叱られていた最中逃げ出したからだ。 幸い、中庭には迷宮のような埋め込みの陰が多々ある。その中の一つに隠れてやり過ごそうとしたのだが…… 「ルイズお嬢様は難儀だねえ…」 「まったくだ。上の二人のお嬢様はあんなに魔法がおできになるっていうのに……」 召使の会話を聞いて、ルイズは奥歯を噛み締める。それがどうしても悲しくて、悔しくて、落ちこぼれの自分に腹立てていた。と、召使達は埋め込みの中をがさごそと捜し始めた。ルイズはそれを見て再び逃げ出した。 そう、彼女の唯一安心出来る場所、秘密の場所となる中庭の池へと向かう。 途中見つからないようにと、小さい体をさらに小さくして細心の注意をはらう。 あまり人が寄りつかない、うらぶれた中庭。池の周りには季節の花が咲き乱れ、小鳥が集う石のアーチとベンチがあった。池の真ん中には小さな島があり、そこには白い石で造られた東屋が建っている。 その小さな島のほとりに小船が一艘浮いていた。船遊びを楽しむ為の小船も、今は使われない。、最早この忘れられた中庭の島のほとりにある小船を気に留めるのはルイズ以外誰もいない。ルイズは叱られると毎回この中に隠れてやり過ごしていた。 予め用意してあった毛布に潜り込み、のんびり時間を過ごそうとしているとふと影がルイズにかかり一人のマントを羽織った立派な貴族が、ルイズの小さな視界に写りこむ。 年は大体十代後半、ルイズよりも十程年上の紳士的な美丈夫。 「泣いているのかい? ルイズ」 つばの広い帽子に顔が隠されても、ルイズは声でわかる。子爵だ。 最近、近所の領地を相続した年上の貴族。 「子爵さま、いらしてたのですか?」 慌てて目の前にいる子爵から視線を外して赤くなった涙目を慌てて拭う。見られたくない自分の顔を憧れの人に見られてしまったので、 ルイズは顔を赤く染めた。 「今日はきみのお父上に呼ばれたのさ。あのお話の事でね」 「まぁ!いけない人ですわ。子爵さまは……」 ますます顔を赤くしてルイズは俯いてしまう、あの話とはルイズの父親が決めた子爵との婚約の話… 「ルイズ。ぼくの小さなルイズ。きみはぼくのことが嫌いかい?」 いつもと変わらぬ口調で子爵が言った。ルイズは首を横に振る 「いえ、そんなことはありませんわ。でも……わたし、まだ小さいし、よくわかりませんの。」 ルイズははにかんで言った。自分の素直な気持ちを理解してくれたのか、帽子の下の顔がにっこりと笑った。 「ミ・レィディ手を貸してあげよう。ほら、僕の手を取りたまえ。もうじき晩餐会が始まるよ」 普段のルイズから真っ先に掴むのだが、今回は躊躇われる。 「でも……」 「また怒られたんだね? 安心しなさい。ぼくからお父上にとりなしてあげよう」 さぁ、と再び手を差し延べてくる。大きな、憧れの手。 ルイズに断る余裕はない。頷いて立ち上がりその手を握ろうとした。 その時、突然何者かが視界の外から勢いよく飛び込んでくると子爵を小舟の上から池の中へと蹴り落とした。 「ミント!!あんた何て事を!!」 思わずルイズは子爵を蹴り飛ばした人物の名を叫ぶ。いつの間にか気づけばルイズは元の16歳の姿に戻っており、 子爵の姿は湖の底に完全に消えてしまっていた。 そしてミントはこれまたいつの間にか現れていた長く続く回廊、その先の果てに輝く黄金のリングに包まれ浮遊する虹色のクリスタルを今はただじっと見つめている。 「………」 しばらくそうしていたと思えば無言のままミントはその奇妙なオブジェに向かって走り出した。 「あっ…待ちなさいよ!!」 思わずルイズはミントを追いかけその背に手を伸ばす。するとミントは立ち止まって振り返るとやはり何も言わずルイズの手をただ強く握った。 そして再びミントが走り出す、今度はルイズを連れて… 走り続ける内にいつの間にかルイズは夢の中ミントの手を振り解き、その隣をがむしゃらに走り続けていた。 せめて足を引っ張らぬ様に… せめて置いていかれぬ様に… そしていつか追い抜ける様に…と…… ルイズ達がフーケを捕らえてから数日が経ったとある日。 その日執り行われた授業の担当教師は疾風のギトー、いつも黒を基調とした服装を身に纏って毎度毎度授業の度に自らの属性である『風』がいかに最強であるかを嫌みったらしくこんこんと説明してばかりの生徒達の人気が非常に低い教師である。 そして今日の授業でもいつもの様にギトーの風最強説の講義は行われていた。 「では質問だミス・ツェルプストー最強の系統とは何かね?」 このクラスで最もランクの高いメイジであるキュルケを挑発する様にギトーはキュルケに問う。尚タバサは風と水のメイジなのでギトーの嫌味の対象外である。 「虚無ではありませんの?」 対してキュルケは爪を磨きながらつまらなそうにギトーの質問に答えた。 「今は系統魔法の話をしているのだ。虚無などという伝説は今は関係ない。」 そう言って鼻で笑ったギトーにキュルケは不快感を覚える。 「では、火だと思いますわ。火はあらゆるものを燃やす、破壊と情熱の象徴、まさに最強に相応しい力。」 「ふむ、成る程、君らしい意見だ。ではそれを実践して見せてくれたまえ。君の最も得意な火の魔法、それが風に果たして通用するのかを…ね。」 ギトーのその言葉に教室中に緊張が走る。既にキュルケに火がついてしまっている事は明らかだ。 「ミスタ、火傷ではすみません事よ?」 胸の谷間からキュルケの杖がスラリと抜き放たれ、真っ直ぐにギトーに向けられる。 杖の先で小さな火が灯ったと思えばキュルケの詠唱に合わせて火は爆発的に大きくなり、1メイルを超えた辺りでついにギトーに向かって放たれた… 「フレイムボール!!」 火球は教室中に凄まじい熱風を生み出しながらギトーへと真っ直ぐに飛翔していく。 しかしギトーの目の前まで火球が迫った時ギトーは短く呪文を唱えて杖を薙ぐ様に振った。 ギトーが生み出した風はキュルケの放ったフレイムボールを粉砕し、風の衝撃がキュルケを襲いその身体を教室の壁に強かに打ち付ける。 すんでの所でタバサが空気のクッションを生み出した為キュルケには怪我一つ無いが、プライドを傷付けられたキュルケは忌々しそうにギトーを睨む。 ギトーはその様を満足げに確認してから、視線を教室全体へ移す。 「諸君。ご覧のとおりだ。強大な破壊力を秘めた火の魔法でも、私が操る風の前にはその力が及ばなかった事を覚えて置いていただきたい。風こそが最強、今日は特別にその所以たる魔法を今ここで御覧に入れるとしよう…ユビキタス・…」 しかしルーンが完成しようとした瞬間、教室の扉が勢いよく開かれ一人の教師が飛び込んできた。 「皆さん、授業は中止です直ぐに正装して正門前に集合です。」 「どういう事ですかな?ミスタ・コルベール、それにその恰好は…」 ギトーは授業の妨害に明らかに不機嫌な様子でコルベールに教室の全員の疑問を代表して訪ねた。 コルベールの服装が今日は何故か普段とは大きくかけ離れている。普段のそれよりも上質のローブを纏い、それの襟には細やかなレースが付いている。 何よりも目を引くのは、 ファンシーメル並の立派な金髪ロールの鬘だ。普段の彼を知るものから見れば冗談にしか見えないようなゴージャスなロールヘアである。 「アンリエッタ王女殿下がゲルマニアの訪問のお帰りに我が魔法学園を訪問されるそうです!!各方杖を磨き、直ぐにお出迎えの用意をしなくてはなりませんぞ!」 (どうしよう……) ルイズはコルベールからアンリエッタの来校の話を聞いて全身から血の気が引くのを感じた… 「うぅ…世界…むにゃ…征…服…」 今一応使い魔のミントは自分の隣の席で授業そっちのけで物騒な寝言を呟きながら昼寝をしているが彼女の立場は正真正銘の王女である。 そんな人物を双方の同意の下とはいえ使い魔にしているのがアンリエッタにばれたら不味い。 もしかしたらルイズには王族への敬意や忠誠が無いものと判断されるやもしれない。それは人一倍アンリエッタを敬愛するルイズにとっては耐えられぬ事だ… アンリエッタのお出迎えパレードが正門付近で催される中、ミントはキュルケとタバサと共に離れた高台から興味なさ気にその様子を見ていた。 その生徒達が整列して作っている花道を如何にも王女らしい余所行きの白いドレスを纏った美少女が臣下達を引き連れてそこを歩く。 「あれがトリステインのお姫様か…大した事無いわね、あたしの方が絶対可愛いわ。」 「………それ、私の台詞なんだけど。…まぁいいわ。」 ミントは勝手に勝ち誇った様子で髪を掻き上げるとルイズがどこに居るのかと生徒達の花道を見渡す。 「おっ、居た居た。って…ん?」 ルイズはそんな生徒達の花道の最前列に並んでいたがその瞳はアンリエッタでは無く、その護衛についたグリフォンに跨がる一人の魔法衛士隊のメイジを映していた。 「ほほぅ、成る程ねぇ…」 「何々、どうしたの?…へぇ~…」 そのルイズの様子を遠目に見ながら何かを察してミントとキュルケははニヤリと口元を意地悪く歪めた。 ___ルイズの部屋 その夜、部屋に戻ったルイズは心ここにあらずといった様子でベッドのに座り込むと溜息を漏らしながらぼんやりとしていた。 「なぁ相棒、嬢ちゃんは一体どうなっちまったんだ?さっきから様子が変だぜ。」 テーブルに立て掛けられたデルフリンガーがカタカタと鍔を鳴らす。まるでミントに己の存在を必死に主張するように… 「さぁね~。」 大してデルフリンガーに構う事も無くミントがニヤニヤとルイズを見つめて笑っているとルイズの部屋のドアが規則正しく叩かれる。初めに長く二回、それから短く三回…… 「ん?ルイズ、お客さんよ。」 その音にはっとルイズが反応し急い小走りで扉へ向かうと、ドアを開いた。 そこに立っていたのは、先端に水晶のついた杖を胸元に握りしめた真っ黒なローブの頭巾をすっぽりと被った少女であった。 少女はキョロキョロと辺りを伺い、部屋の外に誰もいない事を確認した後、ささっと部屋に入り、扉を閉める。 ルイズが声を出す前に、少女がしっと口元に指を立て、それから胸元の杖を軽く振りながら、ルーンを呟くと杖の先から光の粉が、部屋に漂う。 「……ディティクトマジック?」 「どこに耳が、目が光っているかわかりませんからね」 ルイズの部屋に魔法の類いの影響が無いのを確認してようやく少女はローブのフードを外してルイズとミントへその顔をさらした。 「あれ?あんた…」 「姫殿下!」 ルイズはノックの仕方で半ば確信していたが驚きの声を上げ、急いで膝をつく。勿論ミントはそれに倣ったりはしない。 「お久しぶりね、ルイズ・フランソワーズ。」 そう言って嬉しそうに微笑むとアンリエッタはルイズへと駆け寄りその身体を熱く抱擁した。 ルイズは慌ててアンリエッタの身体を優しく引きはがすと再び家臣の礼をとり恭しく頭を垂れる。 「いけません姫様、この様な場所にお一人で…」 「いや…この様な場所って一応あたしもここ住んでんだけど?」 ミントが呆れたように小さく呟くがどうやら既に二人はお互いの世界に入っている様で聞こえてはいないようだった。 「やめてルイズ、私達はお友達じゃない!ここには枢機卿も母上もあの友達面をして寄ってくる欲の皮の突っ張った宮廷貴族たちもいないのですよ! ああ、もうわたくしには心を許せるお友達はいないのかしら。 昔馴染みの懐かしいルイズ・フランソワーズ、貴女にまで、そんなよそよそしい態度を取られたら、わたくし死んでしまうわ!」 「姫殿下…」 顔を両手で押さえ頭を振るうアンリエッタの様子にやっとルイズは顔を上げた。そこからは二人の幼馴染の懐かしい昔話が続いた。 それはルイズとアンリエッタが幼馴染で、幼いころ、遊んだり取っ組み合いの喧嘩をした、という様な極普通の子供の思い出話だった。 ぶっちゃけてそんな他人の思い出話等に興味の無いミントはルイズのベッドに腰掛けて半ば冷めた様子で二人のやり取りを眺め… (王女ね~こんな娘が国を支配出来てるとは思えないけど…フフフ、良い機会だわ。ルイズをダシに近づいて王家の秘宝や情報をゲットする為に精々利用させて貰おうじゃ無い!!) 等と邪な考えを抱いていた。 「結婚するのよ…わたくし……」 先程まで嬉しそうに明るく話していたアンリエッタの声のトーンが暗いものへと変わる… 「それは…おめでとうございます。」 それは暗にこの結婚話が望まぬ政略結婚だと訴えている…それをルイズも察してその祝福の言葉は残念ながら心からのものとは到底言えるものでは無かった。 「所で…」 ここでようやくアンリエッタはルイズの後ろで退屈そうにゴロゴロしていたミントの存在に触れる。 「あちらの女性は学園のあなたの友人なのかしら?」 そうルイズに訪ね首を傾げたアンリエッタにルイズは自分がした昼間の最悪の想定が現実味を帯びた事に明らかに顔を青くした。 「あ、あの…姫様あいつはですね……」 「あたしはルイズの使い魔のミント様よ。よろしくアンリエッタ。」 どもるルイズに構う事無くミントは友好的な態度で立ち上がりアンリエッタに手を振ってみせる。 姫として体験した事の無い余りに砕けたその挨拶にアンリエッタは戸惑い、ルイズは頭を抱えて大きく溜息を漏らした。 「ミント、あなた少しは姫様へ礼儀を…お願いだから。」 ルイズは無駄と解りながらも言ってばつの悪そうな表情でがっくりと肩を落とす。 「別に良いじゃ無いルイズ、そんな事言ったらあんただってあたしに対してもっと礼儀を弁えなさいよ。」 「ぐぬぬ…」 ルイズとミントのやり取りにアンリエッタはついて行けず置いてけぼりになったままである。 そもそもルイズはミントに対して明らかに気を遣っている様子だし、ミントは自分が王女である事を認識した上でさっきの様な砕けた接し方をしてきた。アンリエッタにはいまいち自らを使い魔だと言ったミントの人物像を掴みかねていた。 「姫様、ミントの無礼をどうかお許し下さい。罰ならばわたくしに!!」 ルイズの真っ直ぐな視線にアンリエッタはさらに困惑する。 「どういう事なのルイズ・フランソワーズ彼女はあなたの使い魔なのでしょう?」 「はい、ミントは確かに私が春の使い魔召喚の儀式で呼び出した使い魔なのですが…」 ルイズは伏し目がちに観念し、アンリエッタにミントの事を説明する事にした。 「ミントはこことは違う異世界の魔法国家である東天王国の第一王女…位で言えばその…アンリエッタ姫殿下と同等の地位なのです。で、ですが現在私の使い魔で居るのはミントの意思で…痛っ!!」 そこまで言った所でルイズの脳天をデルフリンガーの鞘が軽く叩き、ルイズはあまりの衝撃にアンリエッタの前にも関わらず頭を押さえて床を転がりのたうち回る。 「言い訳してんじゃ無いわよ。まぁそんな訳でよろしくアンリエッタ。」 余程驚いたのか口を開いたまま唖然としているアンリエッタを見下ろしてルイズに振り下ろしたデルフリンガーを肩に担ぎ直しミントはニヤリと笑った。 「ミントォッ!!」 「本当に驚かされましたわ、ご迷惑をお掛けしますミント殿下。ルイズ・フランソワーズ、貴女って昔からどこか変わっていたけれど、相変わらずなのね。」 「お恥ずかしいですわ…」 ミントとルイズの些細な口論が終わりミントとの友好を深めたアンリエッタがクスクスと笑う。が、そこで再びアンリエッタは気落ちした様に憂鬱げな表情を浮かべた。 そう、ここからがこのお姫様の本題なのだ… 前ページ次ページデュープリズムゼロ